今年も平成28年5月16日より、JICA「持続的農業生産と環境保全のための土壌診断技術コース」の研修が始まりました。
この研修は、JICAから当法人が受託して海外の研修員を受け入れ、土壌診断の技術について学ぶプログラムです。今年は、アフガニスタン・カンボジア・キューバ・ラオス・マラウイ・パレスチナ・ザンビア・ケニアから8名の研修員が参加しました。
研修員は、それぞれの自国において農業省や農林水産省、農業研究所に勤めている土壌技術員です。研修員には、化学性分析・物理性分析・堆肥製造・土壌断面調査など日本における様々な土壌診断の技術を学んでもらい、自国でその技術を活用して普及して頂くことが目的です。
本日(5月31日)は、調査地点No.2(帯広市大正町、テンサイ圃場)において土壌断面調査を行ないました。
土壌断面調査は、圃場に深さ1m程度の穴を掘り、地面に対して垂直の「土壌断面」において、土壌がどのように堆積したのか?どのような特徴があるのか?どのような利点・問題点があるのか?などを調査します。
作物を栽培する上で重要な情報を知ることができ、利点を活かすヒントや問題点を解決するヒントが隠されています。
まずは2グループに分かれて、約1mの穴を掘りました。穴を掘る方法は講師2名からレクチャーを受け、実践していきます。どのように掘れば正確な土壌断面が観察できるのか、熟練したテクニックを学びます。
それぞれの断面において、土壌の硬さ、土壌の色、植物の根はり、水はけ、腐植などを観察して記録します。
同じテンサイの圃場で、たった数メートルしか離れていないにも関わらず、土壌の特性はそれぞれ異なります。
同じように見えるけれど土壌の硬さが違ったり、違うように見えるけれど実は同じ土壌の色だったりします。
それぞれ論議し合いながら、この土壌にはどのような特徴があるのか学んでいきます。
皆さんはご自身の圃場の土壌断面を観察したことがありますか?
圃場の下がどうなっているのか知っていますか?水はけの良し悪しは?
感覚や現象として知っていても、その理由・原因を説明できますか?
土壌断面調査は、その理由・原因を知る一つの手段です。その手段を研修員が学び、自国の農業にどのように活かしていくのかは研修員次第です。
明日も地点を変えて土壌断面調査を行ないます。さらにどのような土壌断面が見られるのでしょうか。研修員は何を学ぶのでしょうか。楽しみですね。